ワールドカップで見られるジンクスを分析した論文。

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当ブログでは、海外研究や論文を元にした科学的な練習法を紹介したり、話題の海外スポーツトピックから、データベースな新情報をお伝えしております。 たまにスポーツ英語も紹介。

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筆者は、ダルビッシュ有さんとフアン・ソトの大ファンで、夢はサンディエゴに生で見に行くこと。高校まではただの野球人だったが、海外のスポーツが好き過ぎて、英語を学び、日本の外に住んでいる20代。

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ワールドカップで見られるジンクスを分析した論文。ユーロ、コパアメリカなどの国際大会を分析した論文を紹介。

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ワールドカップのPKジンクス

サッカーのワールドカップなどの国際大会を観ていると必ず目にするのが、PK(ペナルティーキック)戦。手に汗握る試合展開で延長戦までもつれたものの、決着が付かず、国を代表するキッカーが1人ずつ蹴っていくのですが、国を背負っている選手側のプレッシャーは想像を絶するものでしょう。テレビ観戦している我々一般人でさえ、緊張を感じるほどです。


今回は、そんな必ずと言っていいほど勝敗を左右する、プロの国際大会のPK戦ですが、分析してみると、意外な行動や心理的要素がPK戦での国の勝利や敗北、選手のパフォーマンスに影響を与えていることが示唆されている3つの研究を紹介していきます。

ワールドカップやユーロなど、主要な国際大会で優勝候補が敗れてしまう、ちょっとしたジンクスが見えてきました。

1、チームの伝統

ひとつ目の研究は、2つの主要大会、UEFA EURO(ヨーロッパ選手権、通称:ユーロ)とFIFA World  Cup (ワールドカップ)から、トーナメント戦まで勝ち残った8ヶ国の合計、200ショットを分析した論文から。

何がPK戦の結果を左右していたか結論から先に言ってしまうと、チームのステータスとセルフレギュレーションがPK戦の結果に関連していました。


チームステータスとは、PK戦の時点で、伝統があり、以前に何かタイトルを獲得したことがあるかなどの歴史のことです。世界のトッププレイヤーでも、伝統の重みによってパフォーマンスが左右されるのですね。。。


もうひとつのセルフレギュレーションとは、セルフコントロール、即ち自分をコントロールする能力のことで、ここでは流れに飲まれずに、自分の間合いで蹴れているかということです。国際大会のPK戦では知名度があるプレーヤーほど、プレッシャーからか蹴る準備に費やす時間が少なく、成功率が低かったそうです。

特に、2021年に開催されたEURO2020で準優勝に終わったイングランドは、2021年のユーロもPK戦に加えて、過去にも多くの試合をPK戦によって敗北しています。

イングランドのような伝統のあるチームで勝ちたい思いが強いチームこそ、心理面に負担のかかるPK戦でのプレッシャーは、大きいのかもしれません。この分析結果によると、イングランドの選手は重圧から蹴り急いだために、パフォーマンスが落ちた可能性を示唆されています。

2、個人ステータスの分析

2つ目の研究も同じ著者の研究で、今回はPK戦で蹴る選手のステータスにフォーカスを当てています。

 ここでのステータスとは、過去に権威あるタイトル、例えると、FIFA world player of the year(年間最優秀選手賞)のような賞の獲得経歴があるかを示しています。国際主要大会からのPK戦、366ショットを分析を行いました。

 こちらの分析結果は先ほどの伝統あるチームの研究と同様、現在のステータスの高い選手ほど、国際大会でのPK戦のパフォーマンスは優れなかったそうです。

研究者はここでも、蹴るまでの時間がステータスの高い選手ほど短くなってしまう傾向があることを示唆しています。

大きな国際大会ほど、なぜかミラクルのようなジャイアントキリングが起こるのは、やはり心理的な重圧やプレッシャーが伝統あるチームに所属する選手ほど、強くなっているのも原因かもしれません。


そう考えると、2016年のユーロでのアイスランドの快進撃は、良い意味でノープレッシャーで、チャレンジャー精神があってこそだったのですかね。。。


2021年に開催されたユーロでは、開催前には多くの人々が、ワールドカップを2年前に制したフランスや、タレントの揃ったドイツ、当時FIFAランキングで1位を走っていたベルギーの優勝を予想していました。ところが決勝に残ったチームは、イングランドとイタリア。

そしてここでも優勝予想は、過半数が伝統のあるイングランドでしたが、結果的にPK戦を制して優勝したのは、イタリアでした。やはりチームや選手に対する期待値が高くなればなるほど、心理面で負担のかかるPK戦では不利になるみたいですね。。。


ちなみに2021年、イングランドは自国での決勝戦でした。加えて、そのスタジアムはサッカーの聖地、ウェンブリースタジアム。そこで延長戦までもつれこんだ大熱戦でのPK戦。私たち一般人にキッカーの重圧は測りきれませんよね。。。

3、PK戦との関連性

そして最後、3つ目の研究は、1976年から2004年の間にワールドカップ、欧州選手権(ユーロ)、コパアメリカ(南米選手権)で行われた41のPK戦、409ショットを分析しました。


この分析で調べられたことは、ストレス(心理的なプレッシャーなど)、チャンス(キーパーがどちらに飛んだか)、スキル、疲労(120分間戦った後の体)のうち、どれがPK戦のパフォーマンスには重要なのかを調べたそうです。

結果は、キックの重要性、すなわちストレスがかかる時、PKのパフォーマンスと負の相関関係が見られたそうです。心理的なプレッシャーや重圧が増大すると、PK戦のパフォーマンスの減少がみられたということですね。 ちなみに、スキルと疲労はあまり関連性が見られなかったそうです。


やはりPK戦はほぼ心理戦と言っても良いのかもしれませんね。重圧やプレッシャーはスポーツの世界にあるものですから、仕方ないですね。。。

11月開催のワールドカップで見えてくるジンクス

以上3つの研究を、今回は一気にまとめてみました。

これらの論文を参考に見てもらうと、11月開催のワールドカップにて、PK戦になった際には、過去から得たチームとしての伝統や個人の高いステータスが、科学的に見たジンクスとなり得るようです。


学生さんの部活や社会人サッカー、もしくは遊びなどでPKを実際に蹴らなくてはならない方は、いかに心理的なプレッシャーを減らすかにパフォーマンスが関わってきますので、以前当ブログでも紹介しました、試合前の緊張や不安対策が役立つかもしれません。

Reference;  1つ目;https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640410802509144 

2つ目;https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10413200902777263

3つ目;https://
www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640410600624020

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