以前も当ブログでは、サッカーのPKに関する記事を扱ってきました。過去のEUROやワールドカップなどの国際大会のトーナメント戦のPK戦から、勝つチームにはどういった要素があるのかがデータとして見えてきた分析結果や、PKを蹴る際に重要になる心理面も分かったという論文も紹介してきました。
そして今回は、外部の要因もPKを蹴るキッカーに影響を与えているのではないか研究した2019年の最新論文を紹介致します。
その外部要因とは、プロサッカーの試合中にゴールの後ろで動いている広告です。
研究者が研究を行ったのは、移動している広告は視覚的に気を散らすものではないか、あるいは照準の位置とキックの精度が影響を受けるのではないかといったところ。
下記の写真でフィールド横にある電光掲示板であったり、ゴール裏でよく流れている広告ですね。
実験は中級レベルのサッカー経験者に広告なし、動いてない広告、移動広告の3つの異なる条件でPKを蹴ってもらいました。その際には、視線行動がチェックされ、それに対するPKのパフォーマンスを調査しました。
研究の結果はというと、、、
キーパーの動きを見ながら蹴るタイプのキッカーは他のグループと比べて、ゴールエリアの後ろに配置された動く広告から影響を受けたそうです。
加えて、動く広告は他のグループに比べて、成功と失敗の変動が大きい傾向があったそうです。
この調査結果は、試合に関係のない要因や情報によって、PKの精度が意外にも影響を受けることを示しています。
キーパーの動きを見ながら蹴るタイプといえば、日本代表やガンバ大阪時代によく遠藤保仁選手が使っていたコロコロPKのようなタイプですね。マンチェスターユナイテッド相手にコロコロPKを決めた時は、日本でもかなり話題になりました。
たしかに、キーパーを見ながら蹴るタイプの選手は、背後で何か動いていた場合、視覚的に邪魔になりますよね。。。しかしながら、こちらの研究は、プロのサッカー選手を対象に行ったわけではありませんので、ご注意を。
プロのサッカー選手、特にEUROやワールドカップを対象にしたPKの研究記事は、こちらからどうぞ。
EURO、ワールドカップのPK戦で勝つチームに共通していた要素とは?
やはりPK戦で大切なのは心理面だった
Reference; https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fspor.2019.00069/full