硬式球は軟式球に比べて、速度が出るのは野球界で幅広く知られています。
そして近年は硬式球よりも重い球を投げるトレーニングをすることによって、急速アップにつながると話題です。
しかしここで、ひとつ疑問が浮かびます。
運動学的(体が動くメカニズム)には軽いボールを持って投げようとした場合には、球が軽いため腕の振りが早くなり、骨盤の回転速度も上がり球速アップに繋がりそうです。
対して、先ほど軟式球と硬式球を比較し、硬式球の方が球速が速くなるのは周知の事実です。
このように重いボールの方が動力学的(物理、物体の動作における力の影響)には早く動きます。
加えて、スピードアップに繋がるトレーニングの可能性も結論には示唆されていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
さて、この研究は運動学と動力学的の両側面から、ウェイトボールトレーニングの効果を調査しました。
詳しくは先述の通り、腕を振る速さは球が軽くなると速くなり、動力学的には重い球の方が速くなるが、どちらの方が良いのかといったところを調査しました。
高校生と大学生ピッチャー合わせて25人が参加し 、4、5、6、7オンス(それぞれ約113g、約141g、約170g、約198g)をマウンドと平地から投げてもらいます。(ちなみに硬式球は5オンスです。)
投球動作を26のバイオメカニクスで動きを捉え、肩を起点に腕が回る速さや、肘を起点に手が回る速さなどを測りました。
その結果…
・体の回転速度
通常の5オンスの球に比べて4オンスの球を投げた場合、腕を振る速さと体の回転の速さに違いは見られなかったそうです。
反対に、球が重くなると明らかに腕の振りと体の回転スピードは減少。
ボールが重くなると、腕の回転速度や力が減少するにも関わらず、マウンドから投げた場合と平地の投球を比較して、平地投球では骨盤と肩の回転スピードと、ボールの速度が上昇傾向にあったそう。 このように、マウンドでのピッチングと平地での投球では、体の使い方に大きな違いが出ました。
球の速度では、最も軽い4オンスの球を投げた場合が1番速かったそうです。
研究結果を簡単にまとめると….
運動学と動力学は、軽い球と標準的な野球ボールの間では似ていたが、重すぎるボールは、腕の回転力、肩の回転力および速度の低下と相関していた様です。
重いボールを使うと、ある程度体に負荷がかかるためトレーニングとしては、悪くないのかもしれませんが投げ過ぎには注意ってのが著者としての結論ですね。。。
先述の通り平地で重いボールを投げると、体の使い方に普段より変化が出るため、研究者は肩や肘への過剰なストレスも示唆しています。
過去に当ブログにて記事にした少年野球の頃から野球選手を追跡した調査でも、肩や肘はだいぶ消耗品なのではないかといった論文の結論になっています。野球を現役でされている方は、十分に怪我に気をつけてトレーニングに励んでみてください。