「自信が無くて初球から手が出せない」
「緊張で体が思うように動かない」
野球に打ち込む人の中でも、上記のように、メンタル的な理由で打てないと悩む人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、何が心理的な障害となり、打てない、もしくはパフォーマンスの低下を導いているのか、スポーツ科学的な観点から解説し、効果的な対策も紹介していきます。
野球で打てない時にやりがちなメンタルコントロール法
過信する程自信を持つ
「自信を持て」とはよく言われるものです。特に、スポーツの世界では自信を持ち、強くいなくてはならない、と謳う広告などが、溢れています。
よって、根拠無き自信を多くの人が持ちます。しかし、自分能力に沿った自信を持つことは、重要ですが、過信となると問題が起こってきます。
科学的な研究
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンやコロンビア大学の心理学教授である、トーマス・チャモロ・プレミュジック博士が世界40ヵ国にわたり調査した研究があります。
この研究によると、その人が持つ実際の能力と、持っている自信度合いを測ったところ、これらの関係性に相関はあまり見られなかったそうです。つまり、自信がある=能力があるという訳でもなければ、自信が無いから能力が無いという訳でも無い、という事です。
他にも、一般的に運転を行うドライバーにインタビューを行った調査では、10人中9人(90%)の人が、「自分は普通の人よりも運転能力がある」と答えたそうです。当たり前ですが、すべての人が普通以上な訳がありません。
上記例は、明らかに自信が自分の能力を超えてしまっています。能力に沿わない自信を持つと、結果が出ない自分に落ち込む、みたいな悪循環にもなってきます。
蔓延し続けるポジティブシンキングの落とし穴
不安を避ける
先述の自信と同様にネガティブを避けるため、できるだけ物事のプラス面のみを考えるポジティブシンキングも、メンタルコントロールとしてよく皆さんが行います。
確かにポジティブに考えていく事は大切で、一定の効果が期待できるでしょう。しかし、多くの場合、ただ不安な状況を避けることになってしまいがちです。
例えば、試合前はイメージトレーニングで成功している自分を想像する、といったものがポジティブシンキングの代表例です。
セルフイメージングといって一定の効果は科学的に示唆されているのですが、長期的な運用が難しいのが悩みの種。
ネガティブな不安や緊張を回避するために、毎回成功する自身の姿を想像するわけにもいきません。
ネガティブを押さえつける逆効果
加えて、極度に不安・緊張などのネガティブな感情を回避しようと試みると思わぬ逆効果も科学的には発見されています。
ニューヨーク州ハミルトン大学が2006年に行った研究で、実験参加者全員に自分の欠点を書き出してもらい、半分のグループには欠点をこれから11日間できるだけ考えないようにと伝えます。
残り半分のグループは普通に暮らしてもらい、気分、不安レベル、自信レベルを毎日記録してもらいました。
すると、自分の欠点を考えないように意識したグループは、普通に暮らしたグループに比べ、自分自身に自信がなく憂鬱で不安であると答えることが多かった、みたいな研究結果も報告されているように、ネガティブを無理やり回避する逆効果もあります。
これはシロクマ効果とも呼ばれる現象で、シロクマの事をこれから考えないようにしてくださいと言われると余計に考えてしまうという現象も有名です。
下手にネガティブを押さえつけようとすると余計に反発してくる。これがポジティブ思考になろうとする人を余計にネガティブにするメカニズムです。
チョーキング対策が有効
それでは具体的にどのような対策を行うと、メンタル的な理由で打てない問題に有効なのか。
試合でメンタル的な理由から本来のパフォーマンスを発揮できない事を、科学的には、チョーキングと呼ばれています。
イップスやスランプなどとも密接に関わるチョーキングですが、過去、当ブログでは効果的な対策法をまとめております。
是非本番に強くなりたい選手は、下記リンクより参考にしてみてください。