2022年のメジャーリーグが開幕して約3か月、多くの日本人選手が今年も活躍しています。
これからも日本人選手たちの活躍に期待したいですが、ひとつ怖いのがスポーツには付き物のケガですよね…
「ケガさえなければ…」というフレーズは、よくスポーツ界で耳にします。
近年はMLBのコリジョンルールの導入*や、日本の高校野球の球数制限導入など、選手たちのケガを最低限に抑える動きが出てきています。
しかし、2010年あたりから、とある筋肉の部位に関連するケガがMLBでは増えているそうです。
それが、腹斜筋肉の怪我で、復帰までに時間のかかる怪我のひとつとして知られています。
日本のプロ野球開幕前には、巨人の坂本勇人選手も左内腹斜筋筋損傷のケガを負っていました。
2018年にも同箇所の肉離れにより、戦線離脱しており、復帰までに1か月半ほどかかっています。
このケガがアメリカ野球界でも蔓延しているそうです。
腹斜筋肉というと、脇腹あたりから肋骨までの筋肉です。
ここは特に、野球のスイングや投球に使われており、力を出力するためにひねりの動作をするときに使われる、大切な筋肉のひとつですね。
トーマスジェファーソン大学などが、MLBデータベースから2011ー2015年シーズンを対象として、MLBとMiLB(マイナーリーグ、2軍)の選手たちを分析しました。
ここでは、怪我の具体的な要因や怪我をした日、シーズン中のどのタイミングか、欠場日数、メカニズム、治療と怪我の再発が精査されています。
結果としては、トータル996人の腹斜筋肉の怪我が発生しており、MLBでは259人、MiLBでは737人とマイナーからの怪我の方が多かった模様。
バッティング中が……455人(46%)
ピッチング中が……348人(35%)
尚、ピッチャーは平均で5日ほど欠場日数が多かったそうです。
腹斜筋肉の前側は、全体の77%。後側に比べると復帰までに、平均で5日多くかかるそう。
腹斜筋の負傷率はMLBでは減少傾向にあるようですが、MiLBの場合はそうではなく、MLBとMiLB通じて、プレータイムが短くなる重大な原因となっています。怪我の大部分は前側で発生しているため、後側に比べて選手により多くの欠場試合日数をもたらしています。
備考:怪我の治療のため、ステロイド注射による回復を図ったとする記述もこの記事の中にありましたが、注射をするとより回復が遅くなるとの調査結果も出ていて、現在のところでその効果は分かっていません。
このような分析結果となっていますが、個人的な見解は、スピード感の上昇の影響が大きいのではないかなと感じています。近年の投手のスピード上昇は異常なほどですからね。数十年前は、先発でファストボールの平均が95ー100マイルの投手なんてあまり見れなかったですが、ここ最近は普通になってきてますよね。
日本でも、先日、完全試合を達成し、4月17日の試合も8回までパーフェクトピッチングを披露した、佐々木朗希投手も、最速164kmで常時160kmくらいのフォーシームを投げていますが、以前ほどメディアやファンなどの周囲も、驚かなくなってきているような気がします。
このような投手全体的なスピードアップに付随して、打撃陣もスイングスピードを上げなくてはならないため、腹斜筋肉にかかる負担はやはり大きくなってきます。
そもそも論として、人間の体は160kmの球を投げたり、900gの棒をブンブン振るためには進化してきていない訳ですので、いくらタフなアメリカ人でも体は悲鳴をあげますよね。
*鈴木誠也選手については過去に記事にしました。
こちらも併せてチェックしてみてください鈴木誠也選手の活躍とカブスの今後について
MLBのコリジョンルールの導入*–コリジョンルール改定、効果はあったのか?