ホーム上での危険なプレーを減らすことを目的とした、MLBのルール改定(コリジョンルール)が2014年に行われたのは、記憶に新しい方も多いのではないかと思います。具体的には、捕手が走者に対してのブロッキングを禁止することや、走者が故意に体を当てに行く行為などの禁止でした。
サンフランシスコ・ジャイアンツのバスター・ポージーもホームベース上での交錯によって、選手生命が危ぶまれるほどの怪我を負うなど、2014年よりも前からコリジョンルールの改訂は望まれていました。選手生命どころか、脳の打撃や脳震盪は、一歩間違えれば命の危険もあるほど危険な怪我です。しかしこのルール改定によって、交錯プレイは本当に減ったのでしょうか?
今回はそんなルール改訂が、本当に効き目があったのかを調査した論文を紹介いたします。
ルール改訂が行われた前の2シーズン(2012〜2013)と翌2シーズン(2015〜2016)を比較した分析が行われ、1000件のホーム交錯プレーによる脳震盪の相対的リスクと故障者リストに登録されている期間の違いを調査したそうです。
結果は、脳震盪障害による故障者リストの時間に統計的な違いは見られませんでしたが、ルール適用の前年と翌年の相対的リスクの効果量は0.31と統計的に見ると、脳震盪になるリスクは大きな減少が見られた模様。
数字的に見てもコリジョンルールの効果は大きかったと言えます、個人的な体感としましても、本塁での交錯プレイは、頻度がだいぶ減ったように感じます。加えて近年は、ビデオリプレイも導入されたため、捕手側も無駄にブロックせず、タッチさえ早ければ判定を覆すことができるようになったのも大きな要因のひとつとなりそうですね。
選手ファーストなルール改定は実際に効果を発揮していたという調査結果を紹介致しました。ぜひ参考程度にどうぞ。
Reference: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31961751/