走り込みを重要視する野球界
昔から野球の世界では、走り込みで足を鍛えましょうと言われます。走り込みは冬の野球の練習メニューには必ず組み込まれています。
メジャーリーグで活躍する大谷選手が怪我をした際に、野球界のご意見番とも言われる人が、
「走り込みが足りないからだ」
と言って話題になったこともありました。
皆さんの中に怪我をした際、
「足腰が弱いからだ。」
と言われたことがある方もいるかもしれません。
しかし、本当に代々受け継がれているこの主張は正しいのでしょうか。
科学的に見る走り込み効果
結論から先に言います。
科学的に言うと走り込みは野球選手にとって逆効果です。
長距離で長時間の走り込みをする、いわゆる持久力を鍛えるトレーニングと筋力トレーニングやスプリント(短距離を全力)などを行った練習メニューを比較した実験が過去にありました。
その結果は、持久力を鍛えたグループは筋力やスプリントを鍛えたグループに比べ下半身のパワーが減少していたそうです。
長距離を走るとむしろパワーが減少してしまうそうなのです。
この論文のまとめとしましては、このように語られています。
野球のようなパワーやスピードに重きを置く競技は持久力を鍛えるために走るよりも、スピードやパワー系を鍛える短距離で行うインターバル走やウエイトトレーニンングを行うことが良いでしょう。
著者の個人的な見解
個人的には、「いつ野球に持久力は必要ですか?」という疑問がまずあります。
そして走り込みは、足腰を鍛えるためだと主張する方もいらっしゃいますが、下半身のウエイトトレーニングを行った方が筋力アップには断然効果的です。
長時間の走り込みを行うことによって下半身の疲労から来る怪我のリスクも上がっていきますので、だいぶランメニューは悪手な気がしています。。。
また、ダルビッシュさんがよくメディアで、ただ走ればうまくなると思い込んでいる走り込み信者の大人たちに、警告を鳴らしていますが、理にかなっていると感じています。
*下記ツイート参考
自分が言っていることは野球において「長時間、ただ走れば上手くなる」って思って走っている、またはは走らせている人たちに対してです。
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) October 11, 2019
ランニングやりたくてやっている人や他のスポーツに関しては言っていません。
ましてやアシックスや電通やらなんてもっと知らん。 https://t.co/713YWGeQgo
無くならない走り込み
上記の個人的な見解と同時に、著者自身としてはうまくなるためにただ走る、”走り込み”は、以下の理由のため野球界から無くならないとも考えております。
・ランニングには、ポジティブ感情を増やす効果が科学的に発見されている。
・人間は、達成感が大好き。
・達成感は、ゲームでも使われるように脳内でドーパミンを分泌させる。
・一種のやる気物質でもあり、依存症を引き起こすドーパミン。その分泌を求めさらに走る。
8割の力で流す
ランニングにはポジティブな気分を上げてくれる効果*がありますので、ランメニューを冬の練習で行うと、なんとなくひと冬を超えた達成感的なものが出てしまいます。
昔からランメニューが消えないのは、このような感情的な達成感を得たいと思ってしまうのが原因だと個人的には思います。
今後も日本の野球界、特に学生野球界からランメニューが無くなることは無いと思われますので、学生の方は怪我に十分注意して8割程度の力で、流すくらいが良いのではないでしょうか。
一部の正しい知識を持った、エビデンスベースドな方々が徐々に広げて言ってくれることに期待ですね。。。
科学的に怪しいメンタル術
このように親やコーチから教えられたため、なんとなく従っている事で科学的に正しくないことは、数多くあります。
例えば、メンタルコントロールなどが有名で、皆が抱える不安という感情を対処するために、多くの人は、このように言います。
「 ネガティブに考えるな。」
「ネガティブ思考をポジティブ思考に変えていきましょう。」
しかし、意外にもこのようなアドバイスの多くは逆効果です。
では、どのようにすれば良いのか。
逆効果の訳と対策を下記リンクよりチェックしてみてください。
マイナス思考を抑えつける驚くべき”逆効果”とは。
スポーツに関する疑問を下記の質問BOXより受け付けております。科学的な観点から見た解決策を後日当ブログにて回答いたしますので、是非匿名で利用してみてください。
他にも海外スポーツに興味のある方は、ハイライトを見る場合などは、現地の放送を見る場合が多々あると思います。その際、聞こえてくるのが英語。
ここにも皆さんが英語だと思っているものが、実は和製英語のため使われていない場合が多いんです。
例えば、野球の球種にある、ストレートやシュート。これらは和製英語のため使われていません。
正しいスポーツ英語を知りたい方は、下記リンクのスポーツ英語の記事一覧よりチェックしてみてください。
スポーツから英語を学ぶ
*ランニングに関しましては、こちらも併せてチェックしてみてください。
ランニングは本当にあなたに健康をもたらすのか。