野球での打撃力向上に必要な脳を鍛える
今回は前回の打撃力向上へ、村上宗隆選手などプロ野球選手も行う視覚、脳機能を鍛えるビジョントレーニング。海外の研究結果とその効果を紹介の続きとして、実践編です。
前回の記事を見てもらえば分かる通り、野球の打者にとって視覚、脳機能を鍛えると、実際に打撃成績が上昇する事が科学的に裏付けられているようです。
そこで、具体的にどのようなビジョントレーニングが効果的なのか。シンシナティ大学が実際に行い、打撃力向上に繋がったトレーニングの中から、私たちも簡単に使えそうなトレーニングを紹介していきます。
日頃の練習から、打席前のルーティーンとして気軽に行える程度のビジョントレーニングをピックアップしましたので、是非参考にしてみてください。
4つのビジョントレーニング
1、ブロックストリング
ブロックと糸 (ストリング) を利用するトレーニングで、糸へ等間隔に付けたカラフルなブロックをひとつずつ集中して見ていきます。
このトレーニングは、特に打撃時に球を追う目の動きと似ているため、立体的なビジョン感覚を養うのに有効です。
アマゾンなどで安く購入可能なため、がっつりトレーニングを行いたい方は、買っても損はないと思われますが、もし、もっと簡単に済ませたいのであれば、鼻あたりから両手の親指と小指を並べて、ひとつずつ目で追うだけでも、効果は得られるかもしれません。
*記事下にブロックストリングのアマゾンリンクだけ載せてありますので、気になる方はチェックしてみてください。
2、ニアファートレーニング
ニアファートレーニングは、特に主流に取り入れられている、ビジョントレーニングの一種で、約50cmほど離した親指などと、約3m離れたところにある物を交互に見ていきます。
特に速度の指定などはありませんが、野球に応用する場合は、ボールを追いかけるように早めに焦点を合わせる練習が効果的かもしれません。
応用編ー
応用としては、3メートル以上離れた物から、順に自分に焦点を合わせる物を近づけてくるのも、効果的かもしれません。
自分から20m離れた物→15m→10m・・・
実際、野球の打撃時は、18m離れたマウンドから放たれるボールに、焦点を合わせなくてはなりません。
また、守備時は、それ以上に離れているところから、ボールが自分に向かってくるため、遠距離でのニアファートレーニングは、打撃・守備の両面での視覚機能を鍛えられます。
3、サッケード (断続生運動)
こちらも野球経験者なら一度は見たことがあるビジョントレーニングの一種で、両手人差し指を広げて、目で追う運動です。
多くの人が取り入れているため、真似だけしてみた事がある人もいるかと思いますが、このサッケードに関しては、アメリカ・ミシガン大学病院が正しいやり方をレクチャーしております。
1、伸ばした両手の指を1本ずつ立てます。
2、腕の位置は目の高さに。
3、両手の指の感覚は約30cm程です。
4、片方の指ともう一方を目で追います。
5、これを1分間続けます。
サッケードは、多くの人が速くやれば良いと思い、パッと目を高速に動かす事だけをしてしまいがちです。速さも確かに重要ですが、目の焦点が合ってから、反対の指へ行く事を心掛けましょう。
4、ダイナビジョン (Dynavision)
ダイナビジョンは、リアクションタイム (反応時間) を鍛えることのできるトレーニングで、よくゲームセンターなどに置いてある器具です。
光った所を素早く叩くゲームで、視覚から得た情報を、身体に伝える反応速度を鍛えることができます。
家にこの器具をお持ちの方は、少ないため、実用性は低いですが、もしこの器具が近くにあり使用できる方は、トレーーニングとして取り入れてみるのは、良いでしょう。
以上の4つを簡単に行えるものとして、ピックアップしました。
科学的効果の無い練習
自分なりのルーティンを持っているアスリートは本番のパフォーマンスが上がるといった研究もありますので、是非自分なりのルーティンとして、ビジョントレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、多くの人はビジョントレーニングの効果、またはやり方が分かっていないため、科学的効果があるものの、練習メニューには取り入れられていません。
そのため、少しやるだけでも周りとの差が付きやすいのでおすすめですが、一方で、多くの人が練習に組み込んでいるが、あまり科学的効果が認められていない場合もあります。
例えば、よく学生野球やプロ野球のキャンプなどで見かける “走り込み“ 。
下半身を鍛えるために走るわけですが、あまり効果が期待できない練習法です。
詳しく知りたい方は、下記リンクよりチェックしてみてください。
野球界で言われる走り込みで足腰を鍛えるは本当に正しいのか?
reference : https://www.youtube.com/watch?v=nwyPFmT5PDw
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3261847/