打撃力向上へ、村上宗隆選手などプロ野球選手も行う視力を鍛えるビジョントレーニング。海外の研究結果とその効果を紹介

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当ブログでは、海外研究や論文を元にした科学的な練習法を紹介したり、話題の海外スポーツトピックから、データベースな新情報をお伝えしております。 たまにスポーツ英語も紹介。

MLB、NBA、NPB、ヨーロッパサッカーが題材となっていることが多いです。

筆者は、ダルビッシュ有さんとフアン・ソトの大ファンで、夢はサンディエゴに生で見に行くこと。高校まではただの野球人だったが、海外のスポーツが好き過ぎて、英語を学び、日本の外に住んでいる20代。

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はじめに

村上宗隆選手のルーティン

 今年絶好調のヤクルト・村上宗隆選手の打席前ルーティーンを、SNSで拝見することがありました。
 

 両手を広げて目で点を追うビジョントレーニングを村上選手も行っており、近年プロ野球選手に親しまれているルーティンのひとつです。

 視覚・脳機能を鍛える目的ですが、科学的効果は認められているのでしょうか。その効果と、トレーニングのやり方を複数回に分けて紹介していきます。
 今回は、前編という事で、どれほどトレーニングで打撃力への変化を及ぼすのかを、海外研究を元に見てみましょう。

シンシナティ大学の研究

 ありがたい事に、現、シカゴ・カブスのイアン・ハップの出身校でもある、シンシナティ大学が、ビジョントレーニングについて調べてくれております。

 2011年シーズンからシンシナティ大学はチームとしてビジョントレーニングを取り入れ、打撃の改善を図りました。

 詳しくは、次回のトレーニング方法で述べるため、ここでは簡略的に述べますが、先ほどの村上選手が行っていたトレーニングや、動体視力を鍛えるトレーニング、視力検査に使われているような、特殊な機械なども使われていました。

研究結果

 その結果、ビジョントレーニングをまだ取り入れてなかった、2010年シーズンと、シーズン前にビジョントレーニングを行って挑んだ、2011年を比較すると、下記のような結果となったようです。

 シーズン成績が2009−2010シーズンの打率.251から、2010-2011ジーズンは打率.285まで上昇し、長打率も.033上昇したそうで、同時期の同じリーグの他大学は.082下がっていたそうです。

 シンシナティ大学 

2009-2010 → 2010−2011  
・打率 .251→.285  
・長打率 .372→.404
 

 同一リーグの大学      

2009ー2010 → 2010−2011
・打率 .305→.272  
・長打率 .456→.374

 他大学全体が打率、長打率ともに減少する中、ビジョントレーニングを行っていた、シンシナティ大学は、打撃成績が軒並み上昇し、打撃力が上がったそうです。

 研究者はこのようにまとめています。 
 視覚トレーニングは打撃成績と怪我の予防に一定の効果がある。視覚トレーニングはシーズン前に取り入れると、シーズンを通してチームの打撃成績改善につながる可能性がある。

 やはり一定の効果が期待できそうです。

他研究

 他にも、とある海外の研究では、Eye-hand Coordination (アイハンドコーディネーション)の打撃に関する研究も行われております。

 アイハンドコーディネーションは、先述のビジョントレーニングで鍛えることのできる能力の一種で、視覚で得た情報を、腕や手などの身体に瞬時に伝える脳の機能です。これによって私たちは、打撃もできるし、車の運転もできます。

 450人のアメリカのプロ野球選手を対象に特殊なアイハンドコーディネーションのテストが行われ、実際の打撃成績と比べ、テストの成績と打撃能力に関係するのかを調べましたところ、結果は、このようになりました。

・視覚から脳への伝達を調べたテストの成績が良い選手は、ボール球スイング率が低い
現役生活が長く、メジャーリーグに昇格する可能性も高い

 

 なぜ打者としてアイハンドコーディネーションが優れると、ボール球スイング率が低くなるのか。

 それは、一旦開始したスイングを途中で、脳が「スイングするな。」とストップの信号を腕に送った際の、プレイキャンセル能力が高くなるためと思われます。

実際にトップ20%のバッターは、下位20%と比較すると、ボール球に手を出す可能性が10−12低い事も分かっています。

 このような結果から、視力・動体視力や脳機能を鍛えることは、ボール球に手を出さない可能性も増えるようです。

 このように考えてみると、今シーズン絶好調の村上宗隆選手も、ホームラン数と共に四球数が多いのは、視覚機能が優れ、プレイキャンセル能力が高いのが影響しているのかもしれません。
(敬遠の影響もありますが。。。)

 この実験ではスイング率などがメインに調べられていますが、空振り率の減少や、バットの芯で捉える確率の上昇にも繋がりそうです。

実践編へ

 さて、視覚と脳機能を鍛えるビジョントレーニングの効果について紹介してきましたが、この能力を鍛えるにはどうすればよいのか。

 続きは、下記リンクより実践編として、具体的なトレーニング方法を4つほど紹介しておりますので、下記リンクよりチェックしてみてください。

 本日紹介したビジョントレーニングや、上記の走り込みの例のように、科学的に正しい情報を発信しております。

スポーツに関する疑問を下記の質問BOXより受け付けております。科学的な観点から見た解決策を後日当ブログにて回答いたしますので、是非匿名で利用してみてください。

打撃力向上へ、プロ野球選手も行う視覚、脳機能を鍛えるビジョントレーニング。-実践編-

Ref : https://hochi.news/articles/20200202-OHT1T50010.html?page=1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29985271/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3261847/

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