歴代最高のNBA選手との呼び声も高いマイケル・ジョーダンは、かつてこのような名言を残しました。
“誰もが才能を持っている、でも能力を得るには努力が必要だ”
KD、ケビン・デュラントも、過去にこのように語っています。
“一生懸命努力すれば才能を越えることができる。努力を怠れば才能を発揮できない”
多くのスポーツ選手がこのように努力の大切さについて語ります。
それによって、私たち一般人も「夢は努力で叶う」や「ど根性魂が大切だ」といった考えが、スポーツ界のみならず、日本社会全体としても幅広く蔓延していると感じます。
一方で、皆さんも一度は頭に浮かんだことのある考えとして、このようなものがあります。
「彼、彼女は体格に恵まれている」
「運動神経が抜群」
努力、根性論に対して、努力では越えることの出来ない、天性的な才能の大きさを感じる機会も多くあるのも事実でしょう。
スポーツ選手に大切なのは、努力か才能か問題。
パソコンに例えるならば、
良質なハードウェア(天性の能力や体格)
もしくは、、
高度なソフトウェア(努力によってアップデートされた認知的、身体的機能)
どちらが大切なのかを、数字的な観点から持論を展開していきます。
まずバスケットボールの場合、大きくふるいがかけられるのが、ハードウェアである身長の部分でしょう。
大抵の選手が190cmから200cm以上はあり、2021-2022年シーズンのNBA選手全体の身長平均を見てみても198cmです。
おそらく、日本人の中で身長が198cmを超える人は1000人に1人くらいではないでしょうか。
アメリカに視点を移してみると、6インチ2フィート (187cm) 以上のアメリカ人男性を人口比で見てみると、4%以下です。
アメリカでも、1000人に40人ほどで、かなり限られた遺伝子である事が分かります。
このように身長のみで見てみても、NBAで活躍するには、良質なハードウェアを兼ね備えている必要があるようです。
ここでひとつ疑問に上がってくるのが、この問題でしょう。
サイズ的に劣っている選手がいるが、彼らは高性能のソフトウェアがダウンロードされているからか?
確かに、ステフィン・カリーは、比較的サイズは劣っているが、優れたシューティング技術によりNBA史上最高シューターであり、歴代最多3ポイントの記録保持者です。
他にも、かつてセルティックスで活躍したアイザイヤ・トーマスも切れ味鋭いドリブルを武器にNBAの大男たちを切り裂いていました。
このように、努力して後天的に獲得できる能力によって、彼らはサイズのアドバンテージを乗り越えた。
従って、高精度なソフトウェアを作れば、身長の高い日本人もNBA選手として活躍できる。
こう結論付けるのは、まだ早いのかもしれないです。
データを見てみると、もうひとつ重要な素質も必要なようで、それがウィングスパン(腕の長さ)です。
NBAファンの方や、バスケ経験者の方は腕の長さが重要な事は周知の事実でしょう。
シュートブロックやクロスオーバーなど、バスケの多くのスキルに、腕の長さはアドバンテージとなります。
David Epstein氏による著書「The Sports Gene」(2011)によると、NBA選手のアームスパン対身長比の平均値は1.063(計算式はアームスパン÷身長)とのデータが用いられています。
これを2021-2022年シーズンの平均身長198cmに当てはめると、平均210.4cmのウイングスパン。
よく考えてみると210cmってかなり異常ですよね。。。縦だけではなく、横にも長くなくてはならないようです。
ドラフト時の公開情報による、現在NBAファイナルで活躍している選手たちを例に挙げてみると、
ジェイソン・テイタム 身長:203cm ウィングススパン:211cm
クレイ・トンプソン 身長:197cm ウィングスパン:206cm
基本的に、NBAで活躍している選手は身長よりもウィングスパンが長いです。
身長が174cmで日本人の平均身長よりも少し上のアイザイヤ・トーマスでさえ、ウィングスパンは187cmあります。
(この数字には筆者もさすがに驚きました。)
日本の誇りである、八村塁選手はというと、身長:203cm ウィングスパン:218cm
ディフェンスに定評の定評のある、アンソニー・デイビスはというと、身長が206cmのウィングスパンは227cmになります。
要するに平均して、身長が異常なほど高い選手たちですが、それ以上にウィングスパンも異常に長いようです。中には身長的にあまり高くなく、街中でたまに見かける、背の高い日本人ほどのプレイヤーもいます。
しかし、彼らも同様に天性のウィングスパンを持っているようです。
先述した身長とウィングスパンの2つのハードウェア問題だけでは済まず、ほとんどの選手にスプリント能力や戦術理解力、手を伸ばして305cmの高さ以上(バスケットリング)まではある程度届くジャンプ力がなくてはなりません。
こう見てみるだけで、どれほどハードウェアの重要性が大きな業界かが分かるでしょう。
まず身長が上位5%以内に入らなくてはならず、その上、平均してウィングスパン身長比が1.063。
そして、ジャンプ力がバスケットゴールリング(305cm)まで。
ここまでが大きくまとめたハードウェアの必要条件です。
正直な個人的な見解として、天性のハードウェアを備えた選手達が集うのが、アメリカの高校や大学バスケで、そこから上のNBAやプロレベルに行く為に、高性能なソフトウェアが必須であるといった印象です。
また、能力や技術は申し分ないものの、身長とウイングスパンが平均以下のため、NBAのチームフロントもドラフトで獲得しない例もあるため、やはりハードウェアに重きが置かれる業界だと感じております。
そんな素晴らしい遺伝子を持っているNBA選手達ですが、異常なのは身長やウイングスパンのみでは無いんです。
調整能力や環境順応能力も異常で、ものすごい過密な日程で戦っている選手達について過去には記事にしています。
どれほど過酷な環境の中で戦っているのか、記事内では、レブロンも調整の大変さについて語っています。
レブロンも語るNBAの過酷な環境
こちらも併せてチェックしてみてください。
ref: https://www.nbadraft.net/players/jayson-tatum/
https://www.nbadraft.net/players/rui-hachimura/
https://www.nba.com/stats/draft/combine-anthro/?SeasonYear=2011-12
https://economictimes.indiatimes.com/the-necktie-syndrome-why-ceos-tend-to-be-significantly-taller-than-the-average-male/articleshow/10178115.cms
David Epstein氏による著書「The Sports Gene」(2011)