プロスポーツに採用されるホーム&アウェイ方式
4月はプロ野球やMLBが開幕、NBAはシーズンが終わり、一番熱いプレーオフが開始。
そしてヨーロッパサッカーはシーズンも大詰めで、チャンピオンズリーグはベスト4も揃いと、著者のような国内・海外スポーツ好きには、忙しい月です。。
ところで、国内外を問わず、先ほど述べたすべてのプロスポーツにはひとつの共通点があります。
それはホーム&アウェイ方式です。
野球やサッカー、バスケなど大抵のプロスポーツでは、ホームチームが有利となる、ホームアドバンテージというものがあります。
地元のチームを応援する人が多いため、ファンの声援が選手たちを励まし、背中を押すと考えられていますが、本当にそうなのでしょうか?
この問題を、コネチカット大学の統計部門がNBAを調査したようですので、本日はこちらを紹介いたします。
定量化の難しいホーム&アウェイ
正直ホームアドバンテージというのは、雰囲気や本拠地の快適さなど、数値化するのが難しいのに加えて、アウェイでもロサンゼルスやニューヨークなどの人気チームや、人気選手が多く在籍するチームなどは、アウェイでも多くのファンが詰めかけているため、これまた調査が難しい点でもあります。
2020年シーズンのNBA
しかし、2020年シーズンのNBAは、コロナウイルスによるパンデミックのため、フロリダのディズニーワールド(*バブル方式)にて、シーズンが行われました。
よって全試合無観客で実質、全チームアウェイみたいな環境だったため、研究者たちはここに目をつけ、過去の有観客のシーズンと比較してホームの歓声やビジターの逆風を、定量化しようと考えたそうです。
バスケットボールが研究の対象となっておりますが、他のプロスポーツにもホーム&アウェイ方式は採用されているため、参考になりそうですね。
2020年シーズンのNBAは、無観客で関係者以外立ち入り禁止のバブル方式で行われたものの、一応ホームの試合かビジターの試合かの区分けは設けられていました。試合の舞台となった会場は、すべてのチームが統一です。
さて、分析はNBAの試合の中でも最も大切な、シーズン終了後のポストシーズン(トーナメント制)を対象に、NBA公式ウェブサイトからデータが精査されました。
コネチカット大学の分析
2020年からはプレーオフゲーム83試合
2017‐2019年からのプレーオフゲーム243試合
これらの試合からホームチームとアウェイチームのパフォーマンスを比較したところ……
2017-2019はホームチームの勝率が60%程で断然有利となる統計が出ています。
しかし、2020年のプレーオフにてホームチームの勝率は、48.2%まで減少
ほぼ五分五分の勝率となってしまっているため、やはりホームのアドバンテージが無くなってしまった模様。
2017-2019と2020を比べたチームパフォーマンスとしては、ホームチームには大きな変化は見られなかったそうですが、アウェイチームの総得点が平均で5点ほど上昇していたことが、分析結果で分かったようです。
5点だとあまり大きな違いには見えずらいかもしれませんが、プレーオフでの5点は結構大きな差です。加えて、母数の大きいところからの平均ですので、まぁまぁ違いは大きい気はします。
分析結果まとめ
最後に分析結果はこのようにまとめられていました。
ホームチームが、声援やホームの快適さなどのアドバンテージを受けて、パフォーマンスが向上すると一般的には考えられていますが、ホームのパフォーマンスに大きな変化は無い模様。
むしろビジターチームには、ブーイングなどのプレッシャー、長距離移動、アメリカ大陸を移動するため時差ボケ、などなどのネガティブなインパクトが軽減されるため、パフォーマンスの向上が見られた。
このように示唆されています。
簡単にまとめると….
ホームチームをサポート
↓↓↓↓
選手たちが鼓舞される
↓↓↓↓
パフォーマンスの向上
↓↓↓↓
ホームの勝率上昇
と、考えられていますが…..実際は……
アウェイチームにマイナス要素が多い
・敵地のブーイング
・長距離移動
・時差ボケ etc
↓↓↓↓↓
ビジターチームのパフォーマンス低下
↓↓↓↓
得点力が減少
↓↓↓↓
ホームチームの勝率上昇
このようなメカニズムだったようです。
従って、ホームアドバンテージ=パフォーマンスの向上というよりもむしろ、
ホームアドバンテージ=アウェイチームへの負荷
と言えそうです。
サンプル数が2020年のみと少ないですので、これでデータが揃ったとは、言えないものの、個人的にはひとつの参考としては、おもしろいと感じております。
- *バブル方式
- 東京オリンピックでも採用された方式で、関係者以外、選手との
接触がないように行動エリアがディズニーワールド内のみと区別化された。
バブル(風船)の内側のみで行動できることから、この名がつけられた。
他にも、、、
過去にはNBA最強チームのひとつであるゴールデンステートが
7年前から行っていた、とあるデータ管理について選手スタッツベースで記事にしています。
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Reference:https://arxiv.org/abs/2103.02832