【人生をゲーム化】ゲーミフィケーションのポイント10個をまとめ

心理や他科学
スポンサーリンク

当ブログでは、海外研究や論文を元にした科学的な練習法を紹介したり、話題の海外スポーツトピックから、データベースな新情報をお伝えしております。 たまにスポーツ英語も紹介。

MLB、NBA、NPB、ヨーロッパサッカーが題材となっていることが多いです。

筆者は、ダルビッシュ有さんとフアン・ソトの大ファンで、夢はサンディエゴに生で見に行くこと。高校まではただの野球人だったが、海外のスポーツが好き過ぎて、英語を学び、日本の外に住んでいる20代。

nickymallowをフォローする

フレーミング(枠組み)を変える事が大事だというのは、心理学の世界で有名な話です。つまり、同じ現象を見ている中でも、ポジティブにチャンスと捉える人もいれば、ネガティブにピンチと捉える人もいるようにどのような枠の中でその現象を見るかは、その後の行動に繋がってきます。

ハーバード・ビジネス・レビューからの研究(1)が有名なリフレーミングの研究で、スピーチ前に緊張という現象を落ち着かせようとするグループと、緊張を受け入れ、自分は興奮してきていると捉えなおすグループでは、後者の客観的なパフォーマンスが前者を上回り、主観的な緊張度も下がったとか。

物事の解釈次第で人間の行動からパフォーマンスまで変わる可能性は高いです。

もうひとつ興味深い研究としては、ダイエットすると人間は逆に太るのかといったところをリサーチしていて、これもリフレーミング的な問題です。

コーネル大学やニューメキシコ大学らが行った研究(2)では、歩く事をエクササイズと捉えるよりも、景色を見る散歩とリフレーミングして行うと、その後の糖分摂取量や甘いデザートの誘惑に負けづらくなるといった現象があります。

エクササイズを頑張った自分にご褒美を過剰に上げてしまう現象は、下記のような心理メカニズムです。

エクササイズ=苦しいもの → 苦しみに耐えた自分にご褒美

リフレーミングでエクササイズ自体が楽しいものと解釈をさせるのが重要です。

これらのリフレーミングの考えから派生したのが、ゲーミフィケーションです。仕事や勉強をクイズや遊び、人生自体をゲームと捉えられるかが勝負となってきます。そこで使えそうなゲームの要素をピックアップし、ちょっと考えていきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

多数は失敗

ゲーム中、プレイヤーは多くの場合、失敗に終わっています。ゲームデザイナー・代表現実ゲーム(ARG)研究者、ジェイン・マクゴニガルの著書「スーパーベターになろう!」(3)の中では、ゲームプレイヤーの失敗確率について以下のように述べられています。

デジダルゲームにおいて、わたしたちは80%の確率で失敗する。平均すると1時間に12~20回失敗していることになる。

ジェイン・マクゴニガルの著書「スーパーベターになろう!」より引用

人生に置き換えると失敗続きで嫌になってしまいそうですが、徐々に自分のゲーム内でのスキルの向上や、「もう少しでクリアできそう。」みたいなニアミス演出によって、プレイヤーの興奮が掻き立てられます。

最終的な勝利

先述の通り、ゲームを行っている最中、プレイヤーは失敗続きな訳ですが、なぜかプレーを続けてしまいます。なぜか。それは最後に勝利を掴むことができると無意識に感じているからです。少しずつゲーム内のスキルやレベルが上がっていく事によって、プレイヤーは自己効力感(やればできるの感覚)が植え付けられています。

難易度調節

最終的な勝利があると感じている場合でも、プレイヤーが離れてしまう場合があります。それが難易度の調整ミスの場合です。簡単に勝てすぎてしまうゲームもプレイヤーに飽きられ、難しすぎるゲームは最終的な勝利が見えないためプレイヤーの離脱を招きます。実際の現実世界にゲーミフィケーションを取り入れる場合は、適切な難易度が重要です。

仮説と検証を繰り返す

難易度を調整するうえでひとつ重要なことは、ミスを成功よりも多く作るわけですが、その際にプレイヤーに仮説を立てさせ、それを検証させることです。「今回はAをやってミスしたが、次はBをやればいいのか」みたいな感じで仮説の検証を自ら行わせることによって没頭状態を作り出せます。

明確な大きい目標と小さい目標

大抵のゲームには大きな目標が存在しています。ピーチ姫を助けるスーパーマリオや、大会で優勝を目指すスポーツゲームなど、大きなゴールがプレイヤーにはあります。

一方でより近い小さなゴールも必要です。このステージをクリアしなければ次のステージに進めないなどの小さな目標も同時に必要となってきます。

進捗率の即時フィードバック 

正直これが今回のモチベーションを作るゲーミフィケーションを行う上で一番大切かもしれません。迅速なフィードバックです。積み重なるコインやレベルアップなど何かをクリアするごとにゲームはプレイヤーに進捗率を促します。

大抵のゲームで何かプレイ後には「いいぞ。進んでるぞ。その調子。」とプレイヤーに伝えています。フィードバックのスピード感も重要で、プレイ後即時にフィードバックを受けれることで、プレイヤーの自己効力感が強化されます。

サンクコストバイアス

先述のフィードバックが積み重なった過去を振り返らせるのも重要です。心理学的にはサンクコストバイアスと呼ばれるバイアスの一種で、既にやってしまったからやめられない心理です。

いままで積み上げてきたもの、進んできた道のりを定期的に見せる事によって、プレイヤーのサンクコストバイアス(ここまでやってきたんだから…)を発動させます。

勝利報酬とそのランダム性

勝利報酬は必要です。これは物質的なものに限らず、なんかのバッチや勲章のようなものを追いかけてプレイヤーはプレイしていきます。ここでランダム性が使われているのにも注意が必要です。ガチャのようなものからルーレットマシーンまで、人間は古来から不確実性を楽しむ傾向にあるため、ランダム性を加えるのは有効です。

時間プレッシャー

大抵のゲームでは、タイムアタック方式や制限時間、期限などを採用しており、時間が差し迫ってくる感覚をプレイヤーに与えています。仕事や勉強などの実生活のタスクに一番応用しやすいゲーミフィケーションのスキルとして時間プレッシャーは使い勝手が良さそう。時間が迫ってくる感覚は、モチベーションブーストに使えそうです。

物質的な報酬の注意点

報酬は、嫌な事を植え付ける可能性も最近の心理学の世界では示唆されています。はじめにも触れたように、報酬を与えられると「嫌なことをやったご褒美」としてフレーミングされてしまいます。つまり、内側から湧き出る好奇心などの内発的動機が薄れる可能性も。

物質的なご褒美は、まれにした方が良いかも。。。

または、よくデザインされた報酬設計が必要となります。。。。

(1)https://www.apa.org/pubs/journals/releases/xge-a0035325.pdf

(2)https://link.springer.com/article/10.1007/s11002-014-9301-6

(3)早川書房「スーパーベターになろう!」ジェイン・マクゴニガル 2010年 

タイトルとURLをコピーしました