「nasty」「filthy」スラングの意味とは?MLBの投手を褒める英語
MLBの英語中継を見ていて、投手が空振り三振を奪った瞬間に、実況が “That is filthy!” や “Nasty!” と叫ぶのを聞いたことはないでしょうか。
nasty は「不快な」、filthy は「不潔な」。辞書を引く限り、どう考えても悪口です。しかし画面の中では、誰もが投手を絶賛しています。
海外スポーツ英語では少しマニアックなスポーツ英語を定期的に紹介しています。今回はMLBで頻出するスラング、“nasty” と “filthy” についてです。
この2語を理解すると、英語の「褒め方」の感覚そのものが掴めます。そこまで一気に解説していきます。
結論:“nasty” と “filthy”どちらも「えげつない」という最上級の褒め言葉
“nasty” も “filthy” も、スポーツの文脈では「えげつない」「とんでもない」という最上級の褒め言葉です。
日本語の 「やばい」「えぐい」「反則級」 が、ほぼそのまま対応します。
That slider is nasty. あのスライダー、えげつない。
His splitter is absolutely filthy. 彼のスプリットは本当にとんでもない。
Nasty pitch. えげつない球だ。
MLB中継では、変化球が大きく曲がって空振りを奪った直後に、ほぼ反射的にこの2語が飛び出します。
なぜ「汚い」が褒め言葉になるのか
英語では、本来ネガティブな単語を、あえて強調表現として使うことがよくあります。
- nasty(不快な)
- filthy(不潔な)
- sick(病気の)
- insane(狂気の)
- disgusting(吐き気がする)
- ridiculous(ばかげた)
これらはすべて、スポーツの文脈では 「常識外れにすごい」 という意味に反転します。
日本語でも、まったく同じ現象が起きています。「やばい」「えぐい」「バグってる」「反則級」——本来は否定的な語が、程度の甚だしさを表す褒め言葉として定着しました。
つまり 「普通の言葉では足りないから、あえて汚い言葉を借りてくる」 という感覚です。この構造を理解しておくと、初見の英語スラングでも意味を推測しやすくなります。

MLBでの使われ方|投手を褒める言葉
nasty と filthy が最も多用されるのが、MLBにおける投手の評価です。
特に、変化球の曲がり幅が大きい、あるいは打者の手元で急に変化する球に対して使われます。
He’s got nasty stuff tonight. 今夜の彼は球が走っている。
That curveball was filthy. あのカーブはえげつなかった。
Nastiest slider in the league. リーグで最もえげつないスライダー。
打者が完全に泳がされたり、腰が引けたりした瞬間に使われることが多く、「打てるわけがない」というニュアンスを含みます。
打者に対して使われることもある
頻度は下がりますが、打者の打球や振りに対しても使われます。
What a nasty swing. とんでもないスイングだ。
ただし nasty / filthy は圧倒的に投手向けの表現だと覚えておいて問題ありません。
nasty と filthy の違い
結論から言えば、ほぼ同義です。MLB中継では入れ替えて使われます。
そのうえで、あえてニュアンスの差を挙げるなら以下のようになります。
| 単語 | ニュアンス |
|---|---|
| nasty | 「厄介な」「タチが悪い」。打者にとって嫌らしい球というイメージ |
| filthy | 「汚い」の度合いがより強い。感嘆に近く、驚きを込めた響き |
nasty のほうが使用頻度が高く、filthy のほうがやや強い驚きを伴う——程度の違いだと考えておけば十分です。
強調表現
absolutely filthy / straight nasty / downright nasty 本当にとんでもない

変化球を褒める英語表現集
nasty / filthy から一歩進んで、投球を評価する英語をまとめます。MLB中継で頻出するものばかりです。
| 英語 | 意味 |
|---|---|
| movement | 球の変化量 |
| late break | 打者の手元での急な変化 |
| bite | 変化球のキレ(「that slider has bite」) |
| wipeout slider | 空振りを量産する決め球のスライダー |
| put-away pitch / out pitch | 決め球 |
| unhittable | 打てるわけがない |
| paint the corner | 際どいコースに投げ分ける |
| buckle his knees | (カーブなどで)打者の膝を折らせる |
例文
That curveball buckled his knees. あのカーブに、打者は膝から崩れた。
He was unhittable tonight. 今夜の彼は手がつけられなかった。
buckle his knees は、大きく縦に割れるカーブに対して使われる定番表現です。映像が浮かぶ言い回しなので、覚えておくと中継が一段と面白くなります。
日常での nasty / filthy|使うときの注意点
スポーツを離れると、この2語は本来のネガティブな意味に戻ります。混同しないよう整理しておきましょう。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| a nasty smell | 嫌なにおい |
| a nasty person | 意地悪な人 |
| a nasty injury | ひどいケガ |
| filthy room | ひどく汚い部屋 |
| filthy rich | 大金持ち(「汚いほど金持ち」) |
| filthy language | 下品な言葉遣い |
filthy rich は「呆れるほどの金持ち」という意味で、日常会話でもよく使われる便利な表現です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「nasty」はどういう意味のスラングですか?
A. スポーツの文脈では「えげつない」「とんでもない」という最上級の褒め言葉です。MLBでは主に、変化の大きい球を投げる投手に対して使われます。
Q. nasty と filthy の違いは何ですか?
A. ほぼ同義で、入れ替えて使えます。あえて言えば nasty は「打者にとって嫌らしい」、filthy は驚きを込めた強い感嘆というニュアンスの差があります。
Q. なぜ「汚い」という意味の単語が褒め言葉になるのですか?
A. 英語では、本来ネガティブな語をあえて使うことで程度の甚だしさを表す用法があります。日本語の「やばい」「えぐい」とまったく同じ構造です。
Q. nasty を日常会話で使っても大丈夫ですか?
A. プレーや球を褒める場面なら問題ありません。ただし人に対して使うと侮辱になり、ネガティブな含みを持つ用法もあるため、使う対象には注意が必要です。
まとめ
- nasty / filthy は「えげつない」。MLBでは投手への最上級の褒め言葉
- 本来ネガティブな語をあえて使う構造は、日本語の「やばい」「えぐい」と同じ
- 両者はほぼ同義。nasty のほうが頻度が高く、filthy はより強い感嘆
- bite / late break / unhittable / buckle his knees も中継頻出
- ただし nasty は人に向けると侮辱になり、ネガティブな用法になるので注意
英語の褒め言葉は、辞書どおりに訳すと真逆に見えることがあります。nasty と filthy はその代表格であり、この感覚を掴めば他のスラングも一気に理解しやすくなるはずです。
次にMLB中継を見るときは、実況がどの球に対して「nasty」と叫ぶのか、ぜひ注目してみてください。
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